「……キス、されたときも意味わかんないのに、怒れなかった。………いや、じゃなかった……」
「……じゃあ、していい？」
「だめ。聞いて」
いま、素直になってるところなのに。
最後まで言わせてよ。
顔を近づけた廉の口を両手で押さえる。
そんなわたしの手のひらに、ちゅっと音を立てて唇を寄せた廉はやっぱり空気が読めない。
軽く睨むけど、廉は気にしていない様子で、相変わらず廉は廉だった。
いじわるだね。
「廉なのに、廉なんかに、廉のせいで、変に意識しちゃって、いっくんばっかりのわたしの心の中に平気で入って邪魔してきて……」
廉はいつでも邪魔ばかり。
でも、今回はけっこう助けられたりしたんだよ。
「奈子ちゃんを見て思った。廉のいちばんはわたしがいいって。わたし以外の女の子が廉のこと知ってるのも、廉の隣にいるのもいやだって」
正直、二度目の恋が廉なんてって思うよ。
