いきなり雰囲気をつくる廉に、まだ心の準備ができていなかったから心臓が暴れだす。


そりゃ気になるよね。

聞くよね。


でも、まだまとまってない。

なんて言えばいいのかわかんない。




「いいよ、ぐちゃぐちゃのままで。そのままの胡桃の気持ちが知りたい」


急にスイッチが入る廉に戸惑う。

漆黒の瞳はぜったいにわたしを逃がしてくれない。


わたしの前で片膝をつけて、下から顔を覗き込んでくる廉。

俯いているせいで前に落ちる髪をそっと指で耳にかけてくれた。


あぁ、なんでこんなにドキドキしてるの。


なんでこんなに息がくるしいの。


なんでこんなに、廉でいっぱいなの。




「胡桃、教えて」


廉はどうしてそんな優しい声を出すの。



「……廉のいちばんはわたしがいいんだよ」

「うん」

「わたし以外の女の子が廉の隣にいるのはいやなんだよ」

「うん」