「だから、胡桃もおいしいって言ってもらいたい人の顔を思い浮かべてがんばれば、きっとおいしくなるわ」



おいしいって言ってもらいたい人……。

思わず隣に視線を向けた。


廉もわたしを見ていてバチっと目が合う。



「俺?」

「違うし。調子のんないで」

「あらあらまぁまぁ」


思いきり顔を逸らせば、今度はニヤニヤしているお母さんと目が合った。

居心地悪くなって、オムライスをいっきに頬張る。



「お母さんは大歓迎よ」

「なにが!」

「ふふっ」


楽しそうに笑うお母さんはそれ以上なにも言わなかった。

それから廉に質問攻めして満足すると、飲み会してるお父さんを迎えに行くと、わたしたちに留守番を頼み出て行った。



ほんと自由なんだから。



「廉ごめんね」

「慣れてる」

「だよね、はは」


苦笑いしかできない。

お母さんはいつもこんな感じだ。


廉に対しても変わらずガンガン攻められるのはお母さんしかいないと思う。

廉を好きな女の子たちでさえもそこまでできないもん。