いっくんを追いかけるわたしはもうやめたのに。
どうしてそれと同時に、廉のいちばんじゃないといやなわたしになってるの……。
「……うそつき」
いやだな、こんな自分。
意味わかんないな。
こんな自分、どっかいけばいいのに。
こんな気持ち、なくなればいいのに。
無理やり足を動かして走る。
痛みなんて我慢すればいいだけ。
足の痛みとか大したことないよ。
「胡桃!」
「待って、やだ。廉くん」
後ろでそんな声が聞こえたけど、走り続ける。
ほら、ぐちゃぐちゃだ。
ぜんぶ振り切れ。
とにかく走って、走って……。
「おっと、びっくりした」
「っ……」
「大丈夫?くるちゃん」
足をひねって倒れそうになったわたしを支えてくれたのはいっくんだった。
タイミングがすごい。
いっくんがここにいることも、わたしの足の限界がきたことも。