ぜんぶ、すっきりしたはずなのに。


絡まった糸はほどけたはずなのに……。




「胡桃」

「廉くん、無視しないでよ!」



廉がわたしの腕をつかんだけど、その手をすぐに奈子ちゃんがつかんで離させる。

予想していなかったのか、廉の手は案外簡単に離れた。



「はぁ……なんだよ」

「今日、お泊まりだから廉くんの部屋で寝るね」

「いつもんとこで寝ろよ」

「ううん、廉くんのベッドで寝るの。もう決めた」

「……勝手にしろ」



諦めたようにため息交じりの廉。

あー、なんだろ。

この気持ちはよくわかんない。


でも、またぐっちゃぐちゃになる。

そんな予感の、いやな感じ。


わかるよ。

いとこだもん。
親戚だもんね。

家族だもんね。

わかってるよ。


幼なじみとは違う、特別。


幼なじみは他人だもん。

わかってるんだけど……。



「……帰るね」