どうしてなのかはわからない。
けど、いま考えればあのときの行動は、廉への当てつけなのかもしれない。
廉がたくさんの女の子に囲まれて触られてたから。
わたしをひとりにしたから。
あのときのわたしは、少しだけイラついていたから。
わかんない。
それが理由かなんてわかんないけど。
たくさんある理由のうちの、ひとつだとは思うんだ。
「いっくん、好きだよ」
「うん」
「本当に、好き」
「うん」
「大好き」
「うん」
いっくんが大好き。
ずっとずっと追いかけてきた。
いっくんが大好きで、いっくんに振り向いてほしかった。
好きな人に、好きになってもらいたかった。
「いちばん、大好き“だった”よ」
不思議だね。
あんなに好きだったのに、わたしの恋は叶わなかったのに。
「僕も、大好き“だった”よ」
穏やかに笑いあえるなんて……。