みんなから注目を浴びてもクールにすかしている廉から、視線を隣のいっくんへ向ける。
また、切ない表情だった。
「どうして?」
純粋な疑問。
いっくんは負けてない。
たしかに廉は悔しいほどになんでもできる完璧な人だけど、いっくんだって同じくらい完璧だ。
むしろ性格もいいんだから、廉よりも完璧。
いっくんが負い目を感じるところなんてないはずなのに。
「気持ち、かな」
「廉は頑固だもんね」
「うん。あと一直線でぜったいに諦めない」
いっくんは切ない笑顔のままだったけど、言い終わった後に優しさがあふれた。
兄弟って素敵だな。
わたしは一人っ子だから、廉といっくんが幼なじみでよかったって思う。
「いっくんも廉のことうらやましい?」
「そうだね」
「いじわるばっかりなのに」
「廉は不器用なだけだから。ほんとはだれよりも優しい」
優しいときもある。
そんな廉はきらいじゃない。