その間に午後の部がスタートして、かほちんが入場する。
「かほちんさすがだ…!」
わたしじゃ全然だめだったのに、かほちんは鈴木くんに声をかけて息を合わせて二人三脚で進んでいく。
運動神経がいいかほちんだから、そうやってリードできるんだ。
早いペースで全ての障害物をクリアしていった。
かほちんかっこよかったな。
なんて浸っていると、いっくんと姫野先輩ペアがスタートした。
昨日と同じようにいっくんが姫野先輩の腰に手を回して声をかけながら走っている。
いっくんも姫野先輩も笑っていて楽しそう。
ふたりは恋人同士。
だれが見てもお似合い。
わたしはずっとあの隣にいた。
特別な存在としていたかった。
だけど、幼なじみ止まりで、簡単にあの隣を奪われた。
わたしはもう、いっくんの隣にはいられない。
わたしは、いっくんの特別な存在にはなれなかった。