「廉も学食で……」
「Bランチで」
「はいはい」
「行くぞ、胡桃」
学食で待ってていいよ。
そのセリフは言い終えることができなかった。
有無を言わせない廉。
仕方がなく、廉と一緒に教室へ歩く。
「つかめよ」
自分の腕を指す廉だけど、首を横に振る。
距離をおこうとしていたことが癖になってて、今日もまだ前みたいにできない。
「いいから。それかおぶる?」
「目立つからいや」
「じゃあつかめ」
ここで断れば本当におんぶか担がれるかしそうだったから、素直に廉の腕を借りた。
軽い捻挫とはいえ、昨日の今日だからまだ万全ではない。
廉と触れた部分が熱い。
なんでかな。
「……意識しすぎ」
「え?」
「俺のことばっかり考えてる」
「…………」
廉にはバレバレだ。
そりゃそうだよね。
目を合わせなかったり、距離を置こうとしたり。
そんなの、意識してるからだ。
気づいてた。
ぐちゃぐちゃな気持ちの中でも、廉のことすごく意識してるのは、さすがに気づいてる。
むしろ、意識しちゃうからぐちゃぐちゃなんだ。