本当にかほちんがいてくれてよかった。
かほちんがいるだけで、少し気持ちが落ち着く。
女子リレーが終わり、つぎは男子リレー予選。
廉といっくんが出ている。
予選では廉といっくんは当たらない。
どちらのクラスも勝ち上がれば、体育祭最後のリレー決勝で当たる。
『あいつじゃなくて、俺を応援して』
脳内でさっきの廉のセリフが再生される。
廉がはっきりとそう言った。
いつもひねくれて、いじわるばかりの廉がわたしに『俺だけ見てほしい』って言った。
わたしね、廉のいじわるじゃない言葉はきらいじゃないんだよ。
……いじわるじゃない廉はきらいじゃない。
うちのクラスは運動部が多くて、足の速い男子が多い中でもいちばんに速い廉がアンカーみたい。
1位でバトンを受け取った廉は流す程度で、余裕で1位をキープし決勝へ進んだ。
つぎのグループのいっくんのクラスも1位で決勝へ進み、兄弟対決が決まった。