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出勤してから2時間。
左手首にしている腕時計を見て、店内の入り口に視線をやった。
もし例の彼が来るとしたらこの時間帯。
「すみませーん」
「はい」
「あの、この本探してるんですけど」
「この本でしたら…」
だけど、お客様に声を掛けられ入口付近を離れて頼まれた本の場所へと案内する。
…今日は来ないかな。
別に期待しているわけじゃないけど、来ないのかな…なんて思ってる時点でまた本の話をしたいなと思っている自分がいるのかもしれない。
「お探しの本はこちらになります」
「ありがとうございます!」
案内し終えて漫画棚へと足を運び下の引き出しから在庫を上へと移していた時、ふっと影がかかった。
「…あ」
顔を上げれば、そこにいたのは佐藤さんだった。