それから毎日、飲食店でバイトしてる時も、ほたるくんのことを考えていた。


なにしてるのかな?
お店、遊びに来ないかな?
てゆうか、あたしがライブハウスに行けばあえるかな?



もう完全に、ほたるくんが気になって仕方なくなっていた。惹かれまくっていた。


イケメンってわけじゃないけど、一重なのにおっきい目とかスッとした鼻筋とか笑った時のふにゃふにゃ顔とか、確実にタイプだ。


でも、名前は知れたけど、連絡先は知らないし、もしかしたら彼女だっているかもしれない。


もやもやもやもや考えて、あたしはついに、ライブハウスへ行くことにした。





バンド目当て以外でライブハウスに行くなんて初めてだった。


その日は聞いたことのないバンドのライブをしていて、ほたるくんを探しながら中に入った。


中は結構盛り上がっていて、熱気がすごかった。その勢いに押されそうになりながら、今探しても見つからないなと思って一番後ろでライブを見ていた。
結局最後までほたるくんは見つからなくて、諦めて帰ろうと思った。




「マコちゃん!」

後ろから声をかけられて振り向くと、黒いスキニーを履いて少し大きめのロンTを着たほたるくんが立っていた。


裾の方にバックステージパスみたいなのを貼っていた。



「来てたんだね〜!」


「うん、ほたるくんも、、」


「俺は今日PAさんの見学させてもらいながら手伝いしてたの。マコちゃんずっと後ろで見てたでしょ、今日」


ば、バレてたの


「珍しいなって思って、今日みたいなバンドも聞くの?」


「うん、最近ちょっと聞いてて、行ってみようかなと思って来た」



ほたるくんを探しに来たなんて、絶対言えないけど深掘りされても困る、、!

でも、会えて、嬉しい。



「俺行かなきゃなんだけど、話せてよかった!」

「うん、」


だめだ、ほたるくんが行ってしまう。
そしたら、次いつ会えるか分からない。

「あのね!もし、よかったら、連絡先教えてくれないかな」


気づいたら、口からぽろっと出てしまった言葉。言ってすぐ、死にそうなくらいドキドキしたけど、ほたるくんが、“ぜひぜひ〜!”とかふにゃふにゃするから、すぐに安心した。