「あたしも暇なとき、ライブハウス行くのついて行ってみようかな。そしたら、そのふにゃふにゃにも会えるかもしれないし」


「え、その人目当てはやめなよ。それにまた、お店来るって言ってたし、そのうち来るかも、、」


あの言葉が嘘かほんとかなんて分からないけど。


「いつ来るか分からないでしょ〜〜」


寺ちゃんのほっぺが少しムゥっと膨らんだ時、店の入り口から、見覚えのあるシルエットの男が入ってきた。


もしかして、、、



「いらっしゃいませ〜」


寺ちゃんだけ挨拶をして、あたしがしないもんだから不思議がって、“どうしたの?”と聞いてくる。



「あの人かもしれない」


「え!まじ!」


ゆるゆるっとしたパーマは明るい店内で見ると綺麗な黒髪で目に少し前髪がかかっていて、見えにくいけど、あの人に似ている。
白いボアコートを着ていてまるで、


「ひつじさん、、」


「は?」


なんかふわふわしてて肌も白いし、羊さんみたいだ。

あたしに気づいた羊さんは、また、ふにゃっと笑ってこっちに近づいてきた。
やっぱり、あの人だ。


「どうも〜」

「どうも〜、、ほんとに、来てくれたんですね」

「うん、今日あのハコに用事あって、行く前にもしかしたらバイトしてるかなって思ってよってみました」

「そっか、」



明るいところで見るその顔は、思いの外あたしのタイプで初めて話をした時よりもバクバク心臓がうるさい。


「あの、お名前なんてゆうんですか?」


寺ちゃんが横からぴょこっと出てきてあたしも聞きたかったことを問う。


「あ、ほたるって言います」


なんか、ぽいなぁ。
そう思っていたら、あたしの名前も聞かれた。

「えと、マコです。よろしくお願いします。」

「あたしハルカって言います〜よろしくどうぞほたるくん〜」


寺ちゃんはすごい営業スマイルでほたるくんに返した後、“あっちの商品整理してくるね〜“と店の奥に消えていった。