ステージで転換が行われているときに、目の前でスタッフぽい人と話していた男が何気なくこちらを向いた。
たまたま目があって、あたしはすぐに目を逸らした。
カンジ、悪かっただろうか。
でも別に全然知らない人だし、しかも、目あったと思ってるのあたしだけかも。
そんなことを考えながら、うつむいてオレンジジュースの入った紙コップをペコペコと凹ませたりしていると視界に男物のコンバースが入ってきた。
「あの、」
その声に、どきっと心臓が跳ねたのを覚えている。
肩もきっと少し動いていたのだろう。
顔を上げると、さっき目があった男があたしを見つめて立っていた。
「なんですか、、」
「あの、近くの古着屋さんで働いてますよね!」
「え、あ、はい」
「すいません、めっちゃみたことある人だなって思って、しかも服かわいいな〜と思ってつい。俺、よくお世話になってます」
「ありがとうございます、、嬉しいです」
暗くてあまり顔は見えないけど、笑うと目が垂れて、効果音をつけるなら、フニャってゆう音がしそうな笑顔をあたしに向けた。