「私が、必ず皆さんをお護り致します。誰一人として死なせません。しかし、そのためにはこの教室から出る必要があります。行動をしない限り、私は皆さんをお護りすることができません」

蘭がそう告げると、震えていた子どもは「本当に護ってくれる?」と不安げなな顔で見つめる。蘭は迷うことなく「必ずお護りします」と答えた。

六人を一人で護るなど、どう考えても無理がある。誰かが武術に優れていれば話は変わるが、こうしてパニックになっている様子を見ると全員武術は持ち合わせていない。

ただでさえ危険な状況だというのに、六人も護らなければならない人物がいるのははっきり言って足手まといだ。しかし、蘭には目の前で震えている六人を見捨てることなどできない。

「皆さんの顔は、あの時の仲間によく似ていますから……」

銃撃事件に巻き込まれた時、命を奪われた蘭のかつての仲間たち。彼らも事件が発生した時、怯えた目をして震えていた。それが今、重なっている。