「健吾……」 涙を流すあたしの左手を取り 健吾はそっと、薬指に指輪をはめる。 「もう、離さねぇから」 「……うん」 「俺が大学を出て、お前の心の準備ができたら――」 “結婚しよう” その言葉を、健吾の腕の中で聞いた。