「アキ! アキ~っ!!」
「でかい声出すなよ。頭、痛ぇ」
あたしに抱きつかれたアキは、相変わらずの無表情で、しかも冷たいセリフ。
だけどそれは表面上だけだとわかっているから、ちっとも気にならないんだ。
「こら、お前はアキになつきすぎ」
健吾があたしの襟を後ろから掴んで、グイッと引き戻す。
「だって久しぶりで嬉しいんだもん」
あたしは唇をとがらせて健吾をにらんだ。
15分前の出来事が嘘みたいに、いつも通りのあたしたちだった。
そんなふたりを見て、涼しい笑みを浮かべるアキ。
ああ……やっぱりカッコいいなあ。
もちろん健吾が一番だけど、アキも素敵すぎて見とれちゃう。
それに、こうしてわざわざ会いにきてくれるところ、アキらしくて嬉しくなるんだ。
やっぱりあたし、アキが大好きだ。
ニコニコしながら上機嫌でアキを見ていると、健吾が
「見とれてんじゃねぇよ」
とあたしの頭を小突いた。
「妬いてんじゃねぇよ」
すかさずアキがつっこみ、あたしはケラケラ笑った。
なんだかこうしていると、あの町にいた頃みたい。