「はい。……お~っ、どうした?」
 

健吾は電話に出ると、何やら明るい声で話し始める。


あたしはもぞもぞと起き上がり、乱れた髪や服を直した。
 

まだおさまらないドキドキ。

健吾の唇が触れた場所が、燃えそうなほど熱い。


あのとき電話が鳴らなければ、今頃……

そう思うと、さっきまでの自分の勇気が、今さら信じられなかった。
 

首筋に手をあてて、ぼうっとしていると

電話を切った健吾がこちらを振り返った。


「莉子、喜べ。
今から客が来るぞ」


「……へ?」

 





15分後。

部屋にやって来たその人に、あたしは子どものように飛びついた。