「あの、今日は本当にごめんね。バカだったって反省してる。もう絶対にしないから」
 

健吾は、今度は「あぁ」とも言ってくれなかった。

あたしは沈黙を埋めるようにまくしたてた。


「あ、そうだ。健吾、明日からやっと学校行けるね!
真由ちゃんも早く健吾に会いたがってたよ。

あ~、早くまたみんなでワイワイしたいなぁ。
シンさんも最近見かけないし、なんか学校がつまんなく感じちゃって。

でも明日からは健吾がいるから、楽しみなんだけど」


「莉子」
 

あたしの言葉に被せるように、健吾の声が響いた。
 

そしてこのあと健吾が放った一言に、あたしは耳を疑った。



「この部屋にあるお前の物、全部持って行け」


「え?」
 


全部持って行け……って。


健吾、たしかに今そう言ったよね? 


まるで、今日が最後みたいな言い方……。



「なんで、いきなり?」


弱々しい声で尋ねた。