健吾、あたしを見たらビックリするだろうな。

「フライングだろ」ってあきれながらも、きっと喜んでくれるはず……。
 


しばらくすると、駐車場から健吾のバイクが出てきた。


「健吾!」
 

声に気づいた健吾はブレーキをかけ、こちらを向く。

そしてあたしの顔を見るなり、驚きに目を見張った。
 

会えた喜びが大きすぎて、健吾にかけ寄るあたしの足はフワフワしていた。


「健吾、お疲れさ……」

「ひとりでうろつくな!」
 

凄まじい剣幕で怒鳴られ、あたしは体を硬直させた。


「いつまた襲われるかもわかんねぇのに、こんな所でフラフラしてんじゃねぇ! ちょっとは考えろ!」


立ちすくむあたしを追い立てるように、健吾はさらに激しく怒鳴りつける。


「ご……ごめんなさい。健吾の顔が見たくて……あたし」
 

喉がひきつり、うまく声が出なかった。

何かに突き刺されたように胸が痛い。