健吾を迎えに来たのはお父さんだった。

初めて見た瞬間、目元が健吾そっくりだと思った。


「息子がご迷惑をおかけしました」
 

そう言って先生たちに頭を下げ、一度も健吾の顔を見ずに指導室を出ていく、厳格そうな後ろ姿。

健吾も黙ってその後に続く。


これが本当に親子のやり取りかと、疑問を抱くほど冷めたふたりの関係。
 

高級車の後部座席に乗り込み、学校をあとにする健吾の暗い横顔が

いつまでもあたしの胸に引っ掛かっていた。
 



……あれから3日が経った今

健吾との連絡はまったく取れていない。


携帯に電話しても「この番号は使われていません」というアナウンスが返ってくるだけだ。
 


なんだかもう、わけがわからないよ。

あの男たちが何なのか
健吾に何の恨みがあるのか

そこにあたしがどう関係しているというのか。



健吾に会いたい……声が聞きたい。


不安が積もれば積もるほど、あたしは切実に健吾を求める。

真由ちゃんやミツルが励ましてくれても、健吾でなきゃ埋められない穴があるんだ。
 


そんなあたしの想いが通じたのは、4日目の夕方だった。


学校から帰宅したあたしは
アパートの塀の前でしゃがんで待つ、健吾の姿を見つけた。