「大丈夫か!?」

「うん」
 

左肩の痛みをこらえてうなずくと、健吾はあたしを優しく抱きしめ、起こしてくれた。
 

そして
あたしから手を離した瞬間。

健吾の顔つきが、瞳の色が
すっと別人のように変わった。


「ダメ……っ!」
 

叫んだときにはもう遅かった。
 

健吾が金髪男につかみかかり、周りから他の男たちが飛びかかる。

そこにシンさんとミツルが止めに入る。

同じように止めに入ろうとするあたしを、真由ちゃんが止める。
 

学校から程近いこの場所での騒ぎを、先生が聞きつけるまでに時間はかからなかった。

 





一週間の停学。
それが健吾に下された処分。

双方に大きなケガがなかったことが不幸中の幸いだと、シンさんが言っていた。
 

先生に取り押さえられた健吾はいったん学校に戻され、保護者が迎えに来るまで生徒指導室で待たされた。


一見冷静さを取り戻したように見える表情は、いつまた火がついてもおかしくないほど張りつめていて

あたしは声をかけることすらできなかった。