「ちょっと待った、健吾! とりあえず今は抑えろ」


シンさんが間に入り、健吾をなだめた。


「そうだ。今日はカラオケにしようぜ。よし、行こう!」
 

無理やりシンさんに体を押され、部屋の外に出る健吾。

だけど鋭い視線はまだ男たちをにらみつけたままだ。
 
あたしはたまらなく不安な気持ちで、健吾の腕にしがみついた。


「おい、待てよ」
 
追いかけてきた金髪男の手が、背後から迫る。


「莉子に触んな!」
 

それは、守られているはずのあたしまで縮こまるような怒声だった。
 

健吾の迫力に金髪男は一瞬ひるんだかと思うと

次の瞬間、反動のように健吾に飛びかかった。


あたしはとっさに男の腕を両手でつかんだけれど、力でかなうわけもなく、あっけなく横に飛ばされた。


「莉子!」

「莉子ちゃん!」
 

転倒したあたしのもとに、みんなが駆け寄ってくる。

倒れるときにぶつかった棚から、小さな駄菓子の箱がばらばらと落ちた。