最寄りの駅まで徒歩10分。
朝6時ということもあって、住宅街に人通りは無い。
すれ違うのは、愛犬を散歩している方や、ジョギングする人たちだけ。
それでも、顔を上げずに誰とも目を合わさないように駅までの道を切り抜ける。
『6時15分発、○△行き発車します』
ピッと改札を抜けて、いつも通り、スカスカの車両に乗る。
いつもの指定席に腰を下ろすと、自然とふうっ、と息を吐く。
早起きをして、眠いのは当たり前だけど、
こうやって余裕を持って座ることができるのは良かったりする。
目的地まで2時間弱。
鞄の中からイヤホンを取り出して、両耳にセットする。
窓から見える景色を見ながら、音楽を聴くのだ。
誰にも邪魔されず、ただ自分だけの世界に浸れるような、居心地の良い時間。
だんだんと目的地に近づいていくたびに、増えゆく乗客。
その中には、ちらほら私と同じ制服の子たちもいる。
目的地の駅のひとつ前、車内にアナウンスが流れたとき。
—— ピコンッ
右手に持つスマホが音を出し、振動する。
パッと画面を見ると、
《 エリ:いつもの場所に着いたよ〜。》
そのメッセージの左上には、
『いつメングループ(4)』の文字。
そしてすぐに、また新たなメッセージが追加される。
《 マナミ:うちとノッチもすぐ着く 》
《 エリ:了解ー 》