みんなに犬飼ってると楽しい、癒される、という話をたくさん聞かされて、私の犬を飼いたいという気持ちは小さい頃よりもっと大きくなっていった。ガラスな向こうで遊ぶ子犬ちゃんたちを見て、お父さんたちにおねだりしようと決心する。

「いたいた!買い物終わったし帰るよ〜」

いつもならそうお母さんに言われれば素直について行く。でも、今回ばかりはどうしても離れることができない。

「お母さん!私、犬を飼いたい!周りの友達はみんな飼ってるもん。この子とかすごく可愛くない?」

私は、ガラスの向こうでおもちゃで遊ぶウェルシュ・コーギーとミニチュア・ダックスフントを見つめる。こんな可愛い子がうちにいたらもう天国!

「確かに可愛いわね」

「胴長短足って可愛いよな〜」

お父さんたちもそう言ってくれた。もしかして家族に迎え入れてくれるの!?

「飼っちゃダメ?」

「ダメ」

期待は一瞬にして砕けていく。二人とも即答だった。早く行くよ、と言って歩いていく。私は慌てて二人の手を掴んだ。