十、私が旅立つ時を安らかに迎えられるように、どうか最期まで一緒にいてください。「かわいそうだから見ていられない」なんて言わないで。私を独りぼっちで逝かせたりしないでほしいのです。だって、私はあなたが大好きなんですから。

その十の約束は、ミックとする最初で最後の約束。ミックが天国へ行くまで、その約束が変わることはない。

私の心が震え、また目に涙が浮かぶ。そして隣にいるミックを抱き締める。家族になったミックに初めてかける言葉は決まっている。

「大好きだよ、ミック。これからよろしくね」



それから十年、私はミックの名前を呼んで一緒にいることができた。お別れの時は辛かったけど、ミックのおかげで大切なことを学べた。だから私は今、保護犬を救うことを仕事にしている。

「ミック……」

私はミックの写真を見て、優しく微笑む。しばらくすると、瞳から涙があふれて頰に流れていく。

「ずっと大好きだよ」

全ての犬が幸せになるのが当たり前になりますように……。