「伶士くん」



俺の名前を呼んで、菩提さんは視線を黒い石コロから俺に移す。

その感情の内がわからない目を向けられると、背筋がシャキッとしてしまう。



「これは『核』といって、魔族の心臓代わりのようなものなんだ。魔族はこれによって魔力を充填し生かされ、朽ち果てる時にはこの『核』も壊され粉々となる」

「は、はい…」

「逆にこれは魔族の急所、弱点でもあって、この『核』を狙えば、魔族を滅することが出来るんだ」

「はい…」

「見たところ、この『核』は何らかの術によって機能を奪われ不全状態になっている。このまま形として残っているなんて、相当の手練れでもなかなか出来ないよ。我々の想像の範疇を超える力でないと」



ギクッとさせられる。

やばい。やばいやばい。

俺を見る、その疑惑をぶつけられている視線が、優しいのだけどもとても痛い。



「…これを拾った伶士くん。何か、心当たりでもないかな?」



心当たり…!

今、まさに追い詰めかけられてる。

気付かれる…!



ザワザワと緊張がてっぺんまで上り。

頭がいっぱいになった俺。



「し、知りません…?」



しらばっくれた。