首を傾げてみるが、玲於奈の目線を辿ってみると、そこは俺の右の手元だったりする。
(あ…)
ああぁぁっ!し、しまった…!
「伶士クンが右手に握ってる、その石…それ、黒曜石…」
しまった。俺が右手で握ってるもの。それは、さっき来た魔族が残していったもの。『核』といわれる…魔族の心臓代わりの宝石だったりする。
あわわ。何故か手に持ったままでいた。そこら辺に捨ててくればよかったもの…!
内心焦る俺を見る、玲於奈の目は細まっていく。
「それ、魔族の『核』じゃないっすカ」
「え…えぇぇっ?!」
驚いた大声をあげたのは、なずなだ。繋いだ手からビクッと振動を感じた。
なずなも一緒になって俺の手に注目している。そしてまた、更なる大声をあげるのだった。
「ほ、ホントだっ!……れ、伶士!これ、どうしたんだ?!何で魔族の『核』だけがカタチそのまんま残ってるんだ?!……っていうか、何でそれ、平気で持ってるんだ!」
「見たところ、魔力は流れてないようデス。機能停止してるようですヨ。だから、ただの石コロといっちゃ石コロデス」