耳を傾けていると、繋いだ手にキュッと力が入った。



「……あの時、伶士を助けるために、死ぬ覚悟で乗り込んで行ったんだよね…」

「……うん」

「でも……生きてるってわかった時、すごくホッとしたんだ。生きてて良かったって思えて、泣けてきた……」

「うん…」

「私、バカなことしたって、もし死んでたら悔やんでも悔やみきれなかった…」

「……全くだ」

「うん…」



なずなの後悔の弁ともいえる話を、黙って聞いていた。

こんな強がり負けず嫌いでも、俺に心の奥底の素直な思いを溢してくれることを、安心しながら。

俺も…なずなが生きていてくれて、こうしてまた傍にいることが出来て、どんなに感謝しているかと思いながら。

もう、なずなをあんな目には合わせない為にも、俺は陰ながらでもなずなのことを護っていきたいと、思いながら。

俺も、手を強く握り返して。

黙って、聞いていた。



ようやく家の門の前に到着したところで、俺たちの傍に白いワゴン車がゆっくりと停止する。

運転席のパワーウィンドウがスーッと開いて顔を見せた。