なので…。



「ご、ごめん…」



取り敢えず謝る。の、だが。



「謝ればいいってもんじゃないだろが、このっ!…伶士ぃぃっ!」

「わっ」

「伶士が一人で走りに行ったって聞いて、したら、でっかい魔力が通り過ぎて、全力疾走で追いかけて、したらあのヤローがいて…あまり心配かけさすなぁぁっ!……げほっ、げほげほ」

更なる迫力で怒られた。激ヤセの上、鬼の形相。恐い。

だが、怒鳴り過ぎて酸素不足になったのか、色の悪い顔を伏せって、先程よりも更にゼーゼーハーハーと肩で荒く息をしている。

あわわ…酸素足りない、酸素!療養中の身だぞ?!

あまり怒らせちゃいけない!

酸素ボンベ!



「な、なずな落ち着け!あまり怒るな!さ、酸素…」

「…うっせぇわ!伶士のくせに!…私はもう嫌なんだよ!」

「い、嫌…?」

「あのヤローのおかげで、周りの人達が居なくなるのは、もう、嫌なんだよ…!」



今にもとって喰われそうなぐらい、鬼のような怒りの表情剥き出しのなずな、だったが。

ふるふると震えて、険しい顔で俺を睨み付けるその目には……涙がうっすらと滲んでいた。