俺のそのセリフを最後に、室内がシーンと静まった。

なんかマズイこと言ったかな…なんて、緊張感に包まれているけど。

その静寂を破ったのは、忠晴の一言だ。



「…そうですか」



ふぅ、と一息ついた後、顔を上げている。

再び視線を合わせられると、緊張感が増してくる。



「た、忠晴っ…」

「…そういうわけで、伶士さま。帰りますよ」

「は、はぁっ?!…だから俺の話、聞いてたか?!傾聴しただけか!」

「…なずなさんも、一緒に」

「え…?」



不意を突かれてガクッとなる。

この執事、今…なんて言った?



俺の心の叫びが聞こえたのか、忠晴は今一度言い直して俺に告げる。



「なずなさんも一緒に帰りましょう。…我が家、橘家に」

「へ…?」



こればかりは、なずなもキョトーンとしていた。

数秒固まったのち、菩提さんの方を伺うように顔を向ける。

菩提さんも、ふぅと一息ついてから話を始めた。



「実は、なずなが学校に行けないぐらい負傷しているって橘社長が知っちゃって。放っておけないから、家に連れてこいって。面倒みるって言われてね?」

「は…」