だが、フードからチラリと見える横顔が張り詰めて歪んでいるのを目にすると、胸にチクリと痛みが走る。

なずなにこんな顔をさせてしまっているのは、やはり俺が原因だ。

女一人の笑顔すら護れないのかと思うとやっぱり、そんな俺が許せない。

首を横に振る。



「…何を言ってるんですか。俺の護衛上で起きたことの話ですよ?責任がないなんて、そんなおかしい話はないですよ…」

「いや、任務にあたる上で、我々は状況でかつ最善の方法を取らねばならない。…それを怠ってしまったのが、この結果だから」



つまり、なずながこんな姿になったのは、そっちのミスだから。

俺に責任はないっていうのか?

それは、違うような気がする。



「…いや、責任云々の問題で議論をしているつもりじゃないんですよ。こんな結果になったからこそ、俺はなずなに寄り添っていたいわけであって…」



その時、なずなと目が合った。フードから覗くその目は泳いでいる。

…大丈夫。大丈夫だ。



もう、誰も泣かないよう、傷付かないよう。

俺にしか出来ないこと、探すから。



「…自分のために命の覚悟を決めたその結果を、素知らぬ振りは、出来ません…」