《そいつのために、自分にしか出来ないことは何か。それを常に考えておけ》





じゃあ、『護られる』俺は、どうしたらいいのか。




「…自分にしか出来ないことは、何か。それを探したいのに…」



訴えるだけなのに、目や体に力が入ってしまう。奥歯までをもギリッと噛んでしまうぐらい。

今の俺は、敵意剥き出しかのような形相になってると思う。

それでも忠晴は、表情を崩さない。




一緒にいれば…力になれることが見つかるかもしれない。

俺が、どうしたらいいのか。どうすべきなのか。

俺にしか出来ないことは何か、わかるかもしれない。




「…なのに、何で傍にいたらダメなんだよ!俺のせいなのに、何でこいつを置いて帰れるんだよ!」



俺の演説独壇場だったのだが、そこへ涼しげな口調の横やりが入る。



「伶士くん、なずなのその姿と結果は伶士くんのせいじゃない。これは、なずなが無謀な単独行動に出た上での結果だ。こうならない結果もあったのに。…だから、君だけが責任を感じることじゃないんだ」



菩提さんの淡々とした説明を耳にして、なずなは、フードを被ったまま深く俯いている。

静かにこくんと頷いていた。