私が衝撃を受けたのは、添付されていた『キモい妙なモン』の写真だった。
それを目にしては、背筋からザワザワと寒気がし、身体中に戦慄が走る。
むーの撮った写真とは、洋式便器だ。
ゲロまみれにはなっておらず、汚れている様子もないが、恐らく伶士がゲロった現場なんだろう。
でも、被写体は便器側の床で。
そこには、ひとつふたつ落ちていた。
しっとりとした…黒くて小さな羽毛が。
これは…!
(り、リグ・ヴェーダの羽根っ…?)
記憶には新しい。
これを嘔吐している連中を、この目で何度も見た。
…状況からして恐らく、これは伶士が嘔吐したものだろう。
(な、何で…)
不可解な状況ではあるんだけど。
あからさまな体調不良、二人の肉体交渉とそのメリット、伶士の霊力の違和感…そして、伶士が嘔吐したと思われる、このリグ・ヴェーダの羽根。
それらをまとめると、まさかの推測が腑に落ちてしまう。
セオリーの逆を突かれた。
でも、それが本当だとしたら、それは何の目的が?
そんなことをして何になる?!
本当に、何を企んでいるんだ?!
その、まさかの推測とは。
今、奴らが粛々と進めているであろうこととは。
…伶士の体内に、魔力を充填させることだ。