時間が経つに連れて、伶士が兄貴化してる…。
「ですが、昨日と比べてやつれているのは明らかです。いったい何が…」
「………」
不安そうに肩を落とす忠晴さんを目の前に、私は申し訳ない気持ちしかなかった。
あれだけ伶士を大事にしてるんだ。心配で心配で身が千切られる思いをしているに違いない。
忠晴さん、ホントごめん…。
「大丈夫だよ、忠晴さん。今日明日中には解決してみせる。剣軌らも戻ってくるし」
これは、気休めでも慰めでもない。
伶士の身体に異変が見られる以上、グズグズはしてられない。
くそっ…。
試合が始まるまでの時間、忠晴さんとパンダフルで軽い朝食をとった後、学校では別行動をとった。
忠晴さんは、いつもの品ある年寄りな私服に、一眼レフをぶら下げてグラウンドへと行った。
私は…迂闊に近付きすぎると、花魁女郎蜘蛛に動きを悟られてしまう懸念があるため、校内から監視を行うことにした。自分のホームでの特権だな。
一階のLL教室。ここからなら、サッカー部のグラウンドの様子がはっきりとわかる。