間近で見る伶士の様子は、一見変わりない。
…と、思ったけど。
なんか、顔が青白くねえか…?
そして、伶士は忠晴さんに説得され、今日も車に乗って学校へ向かう。
…忠晴さんの車の結界は、哲太くんが拵えた摩睺羅伽の質の高い結界。
例え、花魁女郎蜘蛛が中にいようと、魔力を使って手出しが出来ない結界だ。
車の中は、本当に安全なのだ。
発進する車を見送ってから、行動開始。
今日は、なんと…星天高校で練習試合をやるそうだ。
なので、私はそのまま公共機関で移動し、高校裏の商店街にあるパン屋さん『パンダフル』で忠晴さんと待ち合わせる。
何を隠そう、あの桃李ちゃんの実家だ。
地下鉄とバスで一時間かけて到着したが、すでにパンダフルでコーヒーとクロワッサンを口にしていた忠晴さんは、神妙な面持ちをしていた。
「伶士さま、顔色も悪く、不調そうだったのですが…」
やっぱり。私の感じた違和感は間違っていなかった。
「調子が悪いのか訊いても『あはは。大丈夫』と笑ってますし。ちゃんと食べてるのか訊いても『あはは。気にしないで』と笑ってますし…」
笑って誤魔化すパターン、増えてない?