「魔族が【聖域】三宝の力を得ても、何のメリットもないと思うけど…」



神族の【聖域】は、魔族にとっては地獄。

踏み入ったら最後、【聖域】の空気に触れただけで、即座に封印もしくは消滅と言われている。

そんなのわかってるのに、手を出すかな。



「あらそう?私達の知らない何かがまだあるのかもよ?」

「そうかな」

「調べてみる価値はありそう。調べてみようかしら?」

途端に幾代さんの表情がウキウキし出す。

本当に…この人、未知の解明や調査が大好きなんだから。

苦笑いしか出てこないよ。



「…あ、そうだ。取り敢えず、これは渡しておくわ?返却はいつでも」



そう言って、テーブルの上にチャリンと音を立てて差し出されたモノとは、鍵だった。



「ソフィアパレス南郷通の1101号室の鍵よ?まあ…魔族に戸締りって概念あるかしら」

「ありがとう。オートロックだから、まずエントランスで必要でしょ。有り難く使わせてもらうよ」



恐らく、不動産関係者から調達してもらったと思われる、あのマンションの部屋の鍵。

その鍵は有り難く頂戴する。

これで、中への侵入は可となった。