「分子変換対策、してあるもんね!…黄龍っ!」
そう言って、真凛は黒い翼の彼の頭上を見上げる。
すると、そこから金色のベールが天蓋のようにサーッとゆっくり降りてくる。
「…【黄金龍昇壁】!」
「はっ…!」
そこで、彼は自分の危うさに気付いたのか、目を見開かせた。
「おおっ!真凛ちゃん、結界で閉じ込めて相殺に持ち込むのだな!」
横で美奈人が興奮して、プロレスの観客のような解説付きで吠える吠える。
異次元バトル解説者だ。
「いくよー!…五方五龍相殺…」
だが、真凛が声をあげる途中で「…させるか!」と、間に割り込んできた輩がいた。
なんと、白いもふ虎と攻防をしていた、あの白肌テカテカのマッチョだ。
そっちの戦況を目にしたのか、もふ虎を全力で振り切って、真凛と黒い翼の彼の間に割って入る。
真凛の黄金の鞭を、再生しかけた両腕で薙ぎ払い、拳を一振りして真凛に向かって衝撃波を繰り出す。
「ちょっと何!…ひゃああ!【中央九龍壁結界陣】!」