放課後になるとあたしは教科書とノートを取り出した。


教室内にはもう誰もいない。


泉もすぐに帰って行って、勇人は部活に向かった。


今日習ったところの復讐をするためにペンを走らせる。


カリカリと響く一人分のペンの音。


あたしはこの時間が好きだった。


最初は仕方なくしていたことだけれど、今ではすっかり日常になっている。


授業中にイマイチ理解できなかったところを何度も読み直し、やり直す。


その内おぼろげながら理解できるようになってきて、次に読み直した時にはちゃんと理解できるようになっていた。


「ふぅ~」


あたしはペンを置いて大きく息を吐きだした。


ホームルームが終わってから1時間経過している。


今日は1つの問題に随分時間をかけてしまったけれど、おかげで十分理解することができた。


これで明日の授業も置いて行かれることはないだろう。


安心して教科書を鞄に入れて、席を立つ。


教室を出ようとしたその時、ふと気になって教室中央へ視線を向けた。