いきみに合わせてもう一人の助産師さんらしき人がお腹を上からぐいぐいと押すのがまた辛い。


そんなに押して、チビさんは大丈夫なのだろうかと不安になるぐらい。


普段は閉じている場所から、ありえない程の大きなものを産み落とすと言う事。


その瞬間が気持ちいい、なんて聞いた事がある。


当然、さぞかし爽快感があるんだろうと思っていたけれど……それは突然やって来た。


もう百何度目のいきみか分からない力を入れた瞬間!!





「見えますか?」


……聞こえたのは助産師さんの声。


「男の子ですよ」


え?


終わったの?


もう……いきまなくていいの??


呼吸法が変わる事もなく、産み落とした感覚もないままに一瞬でやって来た最後。


目の前には、小さな、小さな、赤ちゃんが産声を上げていた。