あんなに怖かったのに、一秒でも早く終わらせたい一心で


「麻酔してもらえます?」


「もちろん」


「じゃあお願いします!」


あっさりと心が決まった。早く……とにかく早く楽になりたい。


けれど……先生を呼んだと言われてからも陣痛の波がおさまる事は無く


もしも切る前に裂けてしまったら……そんな恐怖感から今度は本気でいきむ事も出来なくなってしまった。


「上手だよ」


「いきむのが上手いから早いね」


周りはそう言うけれど……いきみ始めたら楽だと思っていた私には全く早いなんて思えずに。


その時、ようやく先生の姿が見えた。


それでもまだ、終わりがずっとずっと先に思えた。