「大地さん、元気そうでよかった」


「だね。」


「相変わらずのシスコンっぷりだったけど」


「あはは……私思春期だったから、あんまりお兄ちゃんと話してなかったけど。
 まさかあそこまで愛されてたとは……」


あそこまで愛されてることに気づかないなんて、我ながら鈍感だと思う。


私ももっとちゃんと……家族のこと大事にしなきゃ。


いつまでも隣にいてくれるとは限らないもんね。



拗らせた思春期に苦い思い出を感じながら、歩いていると。


「あっ」と、桜木が何かを見つけ、声を出す。


なぞるように私もその視線を辿る。


病院の敷地内から出ると、私たちを待っていたのは、いるはずのない朱光さんと雪羽さんだった。



「桜木さん、天音ちゃんやっほー」


「朱光と雪ちゃん、なんでここに居んの」


「いやー、天音ちゃんに言ってないことあったから、言いに?」


「私に……?」


朱光さんが私に用なんて、変なの。


だって桜木のことじゃなきゃ、話す様な間柄でもないから。



分かりやすく目をぱちくりさせ驚いていると
私の中でツンデレ確定中の雪羽さんまで、ペコリと私に会釈で挨拶してくるから開いた口が塞がらない。


「え、あの!朱光さん、私なにかしましたか!?」


雪羽さんが私にデレ……いや、会釈されただけでデレって言っていいのか分かんないけど。


普段そんな風にしないじゃん!


なんか怖い!!