桜木がお兄ちゃんに意地悪言うのも、急にいなくなってしまいそうになったお兄ちゃんへの心配させた仕返しだと思う。
それに気づいてクスクス笑っていると。
お兄ちゃんは私を見て、申し訳なさそうに眉を下げた。
「天音……ごめんな。
お前が大変な時期に、お兄ちゃん助けてあげられなくて」
「……お兄ちゃん。
私、素直じゃないから。
どっちみち、自分が苦しいとか言えなかったと思う。
頼らなかったのは私の方だから、お兄ちゃんが謝ることじゃないよ。」
「あ、あまね~……ほんといい子に育って。
体が動いたら抱き締めてやったってーのに」
悔し泣きをするお兄ちゃんに、若干引いていると。
なぜかイスから立ち上がった桜木が、私の肩を抱き寄せた。
「抱き締めるのは俺の仕事なんでね~、お兄ちゃん」
わざと見せつける桜木に、惚れた弱み抵抗できないでいると。
お兄ちゃんは、今にも暴れたそうに
私を見る。
「おい天音!
本当にこんな奴でいいのか!?
昔からこいつは可愛げまったくないぞ」
「さ、桜木にも少しは可愛いとこあるよ?
あっ、でもカッコいいとこの方が多いかも?」
「おい、なにお前桔梗バカになってんの。
つか桔梗もどや顔やめろや」