「ここではちょーっと話しにくいことなの」


「別にあたしらはさ、ここで話してもいいんだけど~。
 岡本の"あの"こと、人目につくとこで話されると。困るのはあんたじゃない?」


"あの"ことって一体なに……?


私の興味を惹き付けるために、わざとらしい言葉を吐く女達。


本当はついていかない方がいいって分かってる。



だけど、この人たちの怒りに触れて
後で痛い目見るよりは……と思ってしまうのは、未だに心が弱いせい。


だから、こくりと。その有無を言わさない視線に従うよう、頷いた。



「さすが和倉……話が早くて助かる~。
 ……それじゃあ行こっか」



れみ子が逃げられないように私の肩を組むと、教室を後にした。