「あ……あなた一体何者なんですか!?
奏子が……私がなにしたって言うんですか」
「君は何もしてないよ。
でも君の彼氏はそうだなー……悪いことしちゃったから、その責任取ってもらおうと思って。」
奏子が悪いことなんて、するわけない。
だって奏子はヒーローで、いつだって弱い者の味方で。
私を"あの"地獄から救ってくれた。
奏子がいなきゃ……私今頃。
「あっ、もうひとつの質問にまだ答えていなかったね。
俺の名前は桜木桔梗。
名乗ったんだから君も名乗ってね……って、もう名前知ってるけどね~、和倉天音ちゃん。
年齢は俺と同じ17歳の高校二年生。」
「……っ、なんで名前」
「別に、名前なんかいくらでも調べようがあるでしょ。
そんなことより君さ、本当に岡本奏子君が助けにくると思っちゃってる?」
桜木桔梗と名乗った男は、相変わらず月の光で目を輝かせながら、おかしなことを言ってくる。
あまりにもおかしなことを言ってくるから……思わず口の隙間から笑い声が漏れだした。