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周りの子達は、クラスTシャツを着たり、ペンライトを持ってはしゃいだりしている

朝からわくわくの香りを漂わせた校舎は、一段と華やいでいる


八時になると同時に入り口のアーチから大きな音楽と紙吹雪が気分を盛り上げる

───……キーーーーンッ、、

『全校生徒の皆さん、おはようございます。

 これより、第65回学校祭を開催します!』

狭い更衣室にスピーカーから流れた、開催宣言が響く

目の前には、黒を基調としたフリフリのメイドドレス

「羽華ああ!!これ、着て、はいこれ運んで!お客さん、どんどん来てるよっ」

「なんでえええ!菜留が着ればいいじゃんかあ!」

「私は、そう、えっと、ほら身長が高いから着れないの!」

「嘘だあ!!私と少ししか変わらないのにーっ」

どんどん騒がしくなる廊下

生徒達の楽しそうな声の中で、私の泣き声が響いた

湊先輩のクラスが執事喫茶なら、私達のクラスは…

「うふふっ、ほーら似合う!」

「スカートがパンツレベルで短いっ!」

「いーから、ほらっお店に出て!」

「いーやああああーー!」

フリフリの太もも丸見えのスカートに黒の大きなリボンを胸に付けて

私は世に出された


「い、いらっしゃいませ」

ひきつった笑顔でそう言えば、お客さんも体を震わせてお店になんとか入店してくれた

さっそく大人気のうちのクラスの、メイド喫茶

混んでるのはもちろん、その分みんなの視線が気になって…

もともとメイド服を着るはずだった子が風邪でお休みに

至急代理を決めたんだけど…

接客ならまだしも、メイド服なんて!

あーもう、こうなったら学年売上トップ目指してガムシャラに働いてやる!

菜留を見れば、すでに売り上げたお金を見てニヤニヤと細く微笑んでいた

───……

「え、あれは!羽華ちゃん!やーんっ!」

「はあっ!?やばいやばいって、俺指名してくる!」

「わ、やべ鼻血でた」

「ちょ、誰か洸呼んできてやれって」

「は!?やだよ、あいつ羽華ちゃんのこと独り占めするじゃん」

「あ、噂をすれば」

───……

ダド、ダド、ダダダ!

「うひゃっ!?」

「羽華!!ちょ~~~~可愛い!やば、監禁してえ……おい!誰だ!羽華にこんな格好させた天才は!」

「私」

「撤回だ!お前はバカだ!羽華が誘拐される」

「お前も同じ格好させるよ」

「感謝、感激です」

クラスの宣伝に行っていた洸くんがダッシュで帰ってきた

ちなみに、洸くんは、

「むふふっ、洸くんも似合ってるよウサギ」

「え、あ!だろ!可愛い俺にぴったりだよな」

執事の格好に、女子軍に付けられたウサ耳

なんとも愛らしい格好に周りの男子達も思わず立ち止まっている