「伊波、彼氏いるのか」
「あ、うん。付き合い始めたばっかだけど」
「そっか。お互い様だな」
「だね。間瀬も彼女いるもんね」


隣に立つ伊波が罰の悪そうな顔をしている。
おいおいやめてくれよ。なんでそんな顔するんだよ。
申し訳ないみたいな雰囲気出すなよ。

俺は動揺を隠すために、つい髪の毛をわしゃわしゃさせてしまう。
それから間を置いて、思った疑問をそのまま口にした。

「……彼氏とはさ、もうそういうことしたのか」
「え、そういうことって?」
「……キス、とか」
「あー……ううん、まだ」
「へえー……。俺もまだ彼女としてない」
「そうなんだ、以外だね」
「な」
「あはは」


まだ、の言葉を聞いた瞬間、欲望にまみれていた俺は一瞬よからぬことを考えてしまっていた。
だけど空笑いをしてどうにかその思考を振り切った。
なのに隣に立つ伊波が俺の服の裾をぎゅっと握ってきたものだから、途端に理性が飛びそうになる。