「間瀬もまだサッカーやってる?」
「相変わらずな」
「あはは、安心したー」


なんだか自分と共通点があることを知れて凄く嬉しくなった。
他にもこの前県内の女子サッカーの大会では準優勝だったとか、チームメイトと普段サッカー以外にどんなことをしているかとか、最近ようやくワサビが食べられるようになったとか、苦手な数学のテストの点が平均点以上だったとか、新垣さんのところの子供とよく遊んであげているだとか、大きなことから些細なことまで、伊波は自分の身の回りで起きたことをたくさん教えてくれた。
俺もサッカー部ではスタメンになれたこと、林崎と作田とは相変わらずつるんでいること、見ての通り身長が伸びて、一時期関節痛に悩まされたこと、年末に年賀状の仕分けのバイトをしてみたこと、それから歳の離れた姉が結婚して子供が産まれたからこの歳で叔父さんになってしまったこと。そんなことを井波に話していたら、いつの間にか時計の針はもう二周もしていた。


「今気付いたんだけど、もしかしてこれ」


不意に振り返ったら、俺の背を向けていた棚に見覚えのある色紙を見つけて、俺は立ち上がるなり歩み寄ってみる。