すぐに食べ終わってしまったアイスに物足りなさを感じたのか、伊波は冷蔵庫の横にある棚を漁って様々な駄菓子を手にすると、俺を自分の部屋に誘導してくれた。
更に麦茶まで持ってきてくれて、なんだか恐縮になってしまう。
場所を提供してくれただけでも有難いから、別に気なんて遣わなくてもいいのに。


「さーて、ご招待したはいいものの何しましょうか」
「近況報告でもするか?」
「いいねぇそれ!」


伊波の部屋は年相応というか、彼女と然程変わりはなかった。
本棚には辞典や漫画本や雑誌が並んでいて、ベッドの上にはぬいぐるみが置かれていて、雑貨の数がやたら多くて。
異性の部屋なんて片手で数えられるほどしか入ったことないけど、みんなどことなく似たような傾向にあるんだなというのが率直な感想だ。
この前彼女の部屋にも入ったことがあるが、大体はこんな感じだった。
でも決定的な違いは、伊波の部屋にはサッカーのユニフォームがあるという点。

テーブルの上でお菓子の袋を開いた伊波に、サッカーをやっているのかと訊ねれば、「弱小チームだけどね」と女子サッカーのチームに所属していることを教えてくれた。