(……ああ、なるほど)
エールの泡を眺めながら、エリアスは理解した。
恋をして、胸を弾ませて。一日の終わりに愛しいひとと楽しい仲間に囲まれ、お腹と心をいっぱいに満たして。おそらくエリアス自身が自覚するよりもずっと深く、大きく、自分はここで過ごす時間に救われている。それはもう、氷の心を溶かされてしまうほどに。
(フィアナさん……貴女は、春の女神なのかもしれませんね)
「ほれほれ、早くグラスを持ちやがれ」
「準備はできたわね? それじゃ、せーのっ」
「かんぱーい!!」
三人分の声が重なり、豊かな泡が軽快に跳ねたのだった。